C反応性タンパク質(CRP)は肝臓で産生されるタンパク質で、炎症反応によって血中濃度が大幅に上昇します。1930年の発見とその後の研究により、CRPは現代医学において最も重要かつ広く用いられているバイオマーカーの一つとして確固たる地位を築きました。CRP検査の重要性は、非特異的ではあるものの、炎症の高感度な指標として有用であり、診断、リスク層別化、そして様々な疾患のモニタリングに役立つことにあります。

1. 感染と炎症の高感度マーカー
CRP の主な用途の 1 つは、感染症、特に細菌感染症の検出と管理です。CRP の上昇は一般的に炎症に対する反応ですが、重度の細菌感染症では CRP 値が急上昇し、100 mg/L を超えることもよくあります。そのため、細菌感染症とウイルス感染症を区別する上で CRP は非常に貴重です。ウイルス感染症は通常、CRP 値の上昇が比較的緩やかなためです。臨床の場では、CRP は肺炎、敗血症、術後感染症などの症状の診断に使用されます。たとえば、術後に CRP 値をモニタリングすることで、医師は創傷感染症や深部膿瘍などの合併症を早期に特定し、迅速な介入を行うことができます。また、関節リウマチや炎症性腸疾患 (IBD) などの慢性炎症性疾患の管理にも役立ち、連続測定によって疾患活動性や抗炎症療法の有効性を評価することができます。

2. 心血管リスク評価:hs-CRP
この分野における大きな進歩は、高感度CRP(hs-CRP)検査の開発でした。この検査は、これまで検出不可能だった極めて低レベルのCRPを測定できます。研究により、動脈壁内の慢性的な低レベルの炎症が、アテローム性動脈硬化症(心臓発作や脳卒中につながるプラークの蓄積)の主要な原因であることが明らかにされています。hs-CRPは、この血管の根底にある炎症の強力なバイオマーカーとして機能します。
アメリカ心臓協会は、hs-CRPを心血管疾患の独立した危険因子として認識しています。hs-CRP値が正常高値範囲(3mg/L以上)にある人は、コレステロール値が正常であっても、将来の心血管イベントのリスクが高いと考えられます。そのため、hs-CRPは、特に中等度リスクの患者におけるリスク評価の精度向上に用いられています。これにより、従来の危険因子だけでは治療が受けられない可能性のある患者に対してスタチン療法を開始するなど、より個別化された予防戦略が可能になります。

3. 治療反応と予後のモニタリング
CRPは診断やリスク評価に加え、患者の治療反応をモニタリングするための優れたツールです。感染症において、CRP値の低下は抗生物質または抗菌薬療法の有効性を示す強力な指標となります。同様に、自己免疫疾患において、CRP値の減少は免疫抑制薬による炎症抑制の成功と相関します。この動的な特性により、臨床医は治療計画をリアルタイムで調整することができます。さらに、CRP値の持続的な高値は、がんから心不全に至るまで、様々な疾患において予後不良と関連することが多く、疾患の重症度や経過を予測する手がかりとなります。

限界と結論
CRPは有用であるにもかかわらず、その重大な限界として非特異性があります。値の上昇は炎症の存在を示しますが、その原因を特定することはできません。ストレス、外傷、肥満、慢性疾患などによってCRPが上昇する可能性があります。したがって、CRPの結果は常に患者の病歴、身体診察、その他の診断所見と照らし合わせて解釈する必要があります。

結論として、CRP検査の重要性は多面的です。急性感染症の最前線検査としての役割から、hs-CRPを介した長期的な心血管リスクの高度な予測因子としての役割まで、このバイオマーカーは臨床医にとって不可欠なツールです。炎症を客観的に測定・モニタリングする能力は、多くの医療専門分野において、診断、治療指導、予後評価など、患者ケアを大きく向上させてきました。


投稿日時: 2025年10月17日